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税理士法人シン総合会計
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昔から勘定あって銭足らずなんて言葉があります。
帳面上は利益が出てるのに、手元現金は少ない。
利益が出ているはずなのに、実感が無い。ちっとも資金繰りが楽にならない。
今でもそんな風に思っていらっしゃる社長様は多いはず。
現状ですと、厳しい経済環境ですから利益を出すことも難しい。
まして、手元に現金を残すことはさらに難しい。
このページはそんな風に考えていらっしゃる社長様のための、会社のお金について解説するページです。
これを読めば明日から御社の資金繰りは格段に楽になります。などと大見えは切れません。
しかし少なくとも最低限のお金の流れをわかっていただきたいと考えてこのページを作りました。
つまりなぜ資金繰りが楽にならないのか。なぜ手元資金が手薄になるのか。という観点です。
(商品を仕入れるとお金が在庫に代わって云々…などと説明するつもりはありません。)
ここで典型的な勘定合って銭足らずな会社のキャッシュフロー計算書の成り立ちを見てみましょう。
キャッシュフロー計算書(間接法)単位;千円
Ⅰ.営業活動によるキャッシュフロー | |
税引前当期利益 | 5,000 |
減価償却費 | 6,200 |
売掛債権の増減 | ▲ 5,000 |
棚卸資産の増減 | ▲ 6,000 |
仕入債務の増減 | 8,000 |
その他資産負債等の増減額 | ▲ 500 |
法人税等の支払額 | ▲ 2,800 |
営業活動によるキャッシュフロー | 4,900 |
Ⅱ.投資活動によるキャッシュフロー | |
有形固定資産の増減額 | ▲ 5,000 |
貸付金の増減額 | |
投資活動によるキャッシュフロー | ▲ 5,000 |
Ⅲ.財務活動によるキャッシュフロー | |
短期借入金の増減額 | 0 |
長期借入金の増減額 | ▲ 4,700 |
新株発行等 | |
財務活動によるキャッシュフロー | ▲ 4,700 |
現金及び同等物の増減額 | ▲ 4,800 |
現金及び同等物の期首残高 | 20,000 |
現金及び同等物の期末残高 | 15,200 |
このキャッシュフロー計算書という書類は、一年間でどこから、どの程度キャッシュを獲得したかを示しています。その意味では、大変よくできた書類です。
しかし残念なことに、上記のようなキャッシュフロー計算書は中小企業の社長様が知りたいと思っている情報をわかりやすく表示する形にはなっていません。
通常中小企業は、株式への投資はお付き合い程度ですし頻繁に増資することも無いからです。
では、中小企業の社長様にとってわかりやすいキャッシュフロー計算書とはどのようなものでしょうか。
話を単純にするため、小売業を例にとって営業の流れを見てみます。
通常営業の流れは、単純に考えると以下のようなものです。
(1) 商品を仕入れます。
(2) 商品を売却します。
(3) (2)と(1)の差額の余ったお金で以下のものを支払います。
ⅰ)給与・家賃等の費用
ⅱ)器具備品・車などの購入代金
ⅲ)税金
ⅳ)借入金
資金調達を借入金に頼らざるを得ない中小企業にとっては、ⅳ)借入金の返済が滞りなくできるかどうかが最も重要な問題になります。
そしてその部分を明確にすることで、慢性的な資金不足の原因も同時に見ることができます。
そのような観点から上記キャッシュフロー計算書の組み換えを行うと以下のようになります。
キャッシュフロー計算書(間接法)単位;千円
Ⅰ.営業活動によるキャッシュフロー | |
税引前当期利益 | 5,000 |
減価償却費 | 6,200 |
売掛債権の増減 | ▲ 5,000 |
棚卸資産の増減 | ▲ 6,000 |
仕入債務の増減 | 8,000 |
その他資産負債等の増減額 | ▲ 500 |
法人税等の支払額 | ▲ 2,800 |
営業活動によるキャッシュフロー | 4,900 |
Ⅱ.投資活動によるキャッシュフロー | |
有形固定資産の増減額 | ▲ 5,000 |
貸付金の増減額 | |
投資活動によるキャッシュフロー | ▲ 5,000 |
Ⅲ.財務活動によるキャッシュフロー | |
短期借入金の増減額 | 0 |
長期借入金の増減額 | ▲ 4,700 |
新株発行等 | |
財務活動によるキャッシュフロー | ▲ 4,700 |
現金及び同等物の増減額 | ▲ 4,800 |
現金及び同等物の期首残高 | 20,000 |
現金及び同等物の期末残高 | 15,200 |
キャッシュフロー計算書(間接法)単位;千円
Ⅰ.返済原資の計算 | |
税引前当期利益 | 5,000 |
減価償却費 | 6,200 |
設備投資金額 | ▲ 5,000 |
運転資本の増減 | ▲ 3,000 |
その他資産負債等の増減額 | ▲ 500 |
法人税等の支払額 | ▲ 2,800 |
返済原資 |
▲100 |
Ⅱ.借入金の増減 | |
短期借入金の調達 | 0 |
短期借入金の返済 | 0 |
長期借入金の調達 | 10,000 |
長期借入金の返済 | ▲14,700 |
現金及び同等物の増減額 | ▲ 4,800 |
現金及び同等物の期首残高 | 20,000 |
現金及び同等物の期末残高 | 15,200 |
多少すっきりしてきたでしょうか。
売掛債権・棚卸・仕入債務の増減は、運転資本の増減に集約しました。
財務活動の部分は、借入金の増減として調達・返済に分割しました。
さて、最初に典型的な銭足らず会社といった意味がお分かりになったでしょうか。
注目すべきは返済原資の金額です。▲100となっています。
つまりは、本業で利益が出ているのに借入金の返済に回すお金が無いということです。
ただ上記の組み替えたキャッシュフロー計算書でも、資金不足の本当の理由は見えてきません。
過去の実績値であるためお金の出入りを理解するという観点からは不純物が混入しているからです。
そこで今度は、前期実績を予算として、会社の借入金の返済体力を見てみましょう。
予算をベースにすることで、本当の意味でのお金の増減に無関係な要素を取り除きます。
実績 単位;千円
Ⅰ.返済原資の計算 | |
税引前当期利益 | 5,000 |
減価償却費 | 6,200 |
設備投資金額 | ▲5,000 |
運転資本の増減 | ▲3,000 |
その他資産負債等の増減額 | ▲500 |
法人税等の支払額 | ▲2,800 |
返済原資 |
▲100 |
Ⅱ.借入金の増減 | |
短期借入金の調達 | 0 |
短期借入金の返済 | 0 |
長期借入金の調達 | 10,000 |
長期借入金の返済 | ▲14,700 |
現金及び同等物の増減額 | ▲4,800 |
現金及び同等物の期首残高 | 20,000 |
現金及び同等物の期末残高 | 15,200 |
予算 単位;千円
Ⅰ.返済原資の計算 | |
税引後当期利益 | 2,900 |
減価償却費 | 6,200 |
設備投資金額 | 0 |
運転資本の増減 | 0 |
その他資産負債等の増減額 | 0 |
法人税等の支払額 | 0 |
返済原資 |
9,100 |
Ⅱ.借入金の増減 | |
短期借入金の調達 | 0 |
短期借入金の返済 | 0 |
長期借入金の調達 | 0 |
長期借入金の返済 | ▲14,700 |
現金及び同等物の増減額 | ▲5,600 |
左のキャッシュフローは実績、右のキャッシュフローは予算に基づくものになります。
さて、違うところはどこでしょうか。
まず、スタートの利益金額を税引前から税引後に変えました。
設備投資・運転資本・その他資産等・法人税等を0にしました。
長期借入金の返済には、向こう1年間の返済予定の金額を表示しています。
実は運転資本やその他資産負債の増減は、ごく短期的資金の増減を表示してしまう場合が多くあります。
そこで運転資本増減は一旦無視してしまいます。
設備投資の金額も、毎期継続して支出するものを除いては、一旦予算から外してしまいます。
そうしておいた方が、会社の本当の体力が見えているからです。
さて、このキャッシュフロー予算から何がわかるでしょうか。
慢性的な資金不足の原因はわかりましたか。
税引後利益からスタートして、減価償却費等お金が出ていかない費用を利益に足します。
こうして算出される金額が、借入金返済に回せるお金です。
ここから向こう1年間の借入金の元本返済金額を差し引きます。
1年間に増減するであろう現金の予測金額が算出されます。
上記の会社の場合、向こう1年で返済に回せるお金は、9,100千円です。
それに対して返済しなければならないお金は 14,700千円です。5,600千円お金が足りません。
この会社の場合、毎月の元本の返済を賄えるだけの利益が出ていないということです。
つまり返済金額と利益金額のバランスが取れていないということになります。
多くの中小企業は、上記のように返済金額と利益金額のバランスが取れていません。
このような会社の場合、定期的に資金不足が発生し、借換を順次行っていくことが必要です。
ここまでの確認をしたのちに、借換、運転資本の増減や設備投資等をキャッシュフロー計画に組み込んでいきます。
どの程度の資金調達が必要か、どの程度設備投資にお金を回せるのかがイメージできるからです。
上記のような予算と連動させたキャッシュフロー計画を月ベースで作成することには、様々な効用があります。
当会計事務所では、予算と連動した各月単位のキャッシュフロー計画の作成をご支援します。
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